新型コロナウイルスの治療に有効だと今話題になっている「アビガン」
アビガンを富山化学工業(現・富士フィルム富山化学)と共同開発した、富山大学医学部名誉教授の白木公康先生は、以前より講演等で「葛根湯」の効能効果をよく話されています。
前回の新型インフルエンザ対策でも、葛根湯を初期予防に推奨されていました。
葛根湯はウイルスは殺しません。
しかし、免疫力を高めることによって、ウイルスの増殖を抑えているメカニズムが明らかにされています。
家庭薬新聞の記事より
インフルエンザ初期と葛根湯
漢方薬の研究を長年にわたって続けてきた富山大学医学部ウイルス学教室の白木公康教授は、2002年7月にひらかれた「和漢薬・バイオテクノロジー研究成果発表会」において、マウスを使った動物実験で葛根湯がインフルエンザウイルスの発熱や炎症反応を引き起こす物質を早い段階で抑制し、症状を軽減することを科学的に解明したと発表し、マスコミで取り上げられるなど大きな注目を浴びた。
この実験では、インフルエンザウイルスに感染させ、それぞれ「葛根湯」、「アスピリン」、「水」を投与したマウス3群(1群10匹)と感染していないマウス1群で比較動物実験を行い、解熱と免疫反応を調べている。
解熱反応では「葛根湯」、「アスピリン」を投与したマウスがいずれも非感染マウスと同じ体温に止まり、発熱が抑制された。葛根湯はアスピリンに比べて、過剰な免疫反応を抑え、解熱反応もあることがわかった。
またインフルエンザ感染のマウスの肺は、葛根湯を投与することで、ウイルス量が減少していたことからさらに研究を進め、葛根湯を服用しても直接、ウイルスを殺さないが、免疫力を高めることによって、ウイルス増殖を抑えているメカニズムが明らかにされている。
平成21年9月3日 家庭薬新聞より
葛根湯の配合生薬
体を温める生薬
麻黄と桂皮は、病邪や毒を体の外に追い出します。
インフルエンザウイルスが細胞に吸着するのを阻害したり、発熱物質の過剰産生を抑制します。
水分バランスを整える生薬
- 葛根 首・肩のこわばりを和らげる
- 芍薬 筋肉の緊張をゆるめる
葛根湯が肩こりや頭痛にいいのは、葛根と芍薬の効能です。
お腹をいたわる生薬
- 生姜 胃腸を温める
- 大棗 胃腸を元気にする
- 甘草 胃腸を整える
葛根湯は以上7つの生薬からなります。
風邪のひき始め、肩こり、頭痛、口内炎、歯肉炎、蕁麻疹など色々な症状に効果を発揮する漢方処方です。
お医者さんが頻繁に処方するのもわかります。
しかし、葛根湯は体力がない方、汗っかきの方には合わないので注意も必要です。
先程も言いましたが、葛根湯はウイルスを殺すことはありませんので、新型コロナウイルスの治療には使えません。
新型コロナ対策は、再三言われているように、うがい、手洗いの徹底、不要不急の外出を避ける事です。
そして、免疫力をつけるために栄養・睡眠を十分にとること、葛根湯などの漢方薬を必要なタイミングで有効利用することなどです。
テレビなどでよく出てくるインフルエンザ治療薬の「アビガン」
副作用等はありますが、新型コロナウイルスの感染初期の患者さんに、もっとスムーズに服用できるようになれば、医療崩壊の進行も抑えられると思うので、柔軟に対応して欲しいです。